眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

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眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
アンドリュー・パーカー (著)

原題はIn the Blink of an Eye”
動物の光学を専門にする科学者が
「光学」の視点からカンブリア紀の謎を解いて見せた論説本。
カンブリア紀といえば、三葉虫が生きていた時代。
90年代に研究が進んで、実は三葉虫以外にも
奇妙奇天烈な生物たちが、いきなり大量・爆発的に現れた
時代だということが分かっています。
脊椎動物をはじめ、現在生きている動物の原型は
このときに出揃い、そこから大きな枠組みは変わっていない。
むしろ、生き残れずに死んでしまった種もある。
背骨を進化させた脊椎動物以外にも、いろんな種類が
いろんな種類の進化を見せて、まるで進化の実験が一気に
行われたかのような時代。
(このあたりはベストセラーの「ワンダフルライフ」に詳しい。
私が始めてカンブリア紀について知ったのは
NHKが「ワンダフルライフ」を受けて作った特集を見たからですが
アノマロカリスのような奇妙な動物が跋扈していた映像が
冗談みたいで面白かった記憶があります。
さてさて、この本では
「どうしてカンブリア紀になって、
 いきなりこんなに生物種が増えたのか?」という謎について
光学的な視点から
「それは、カンブリア期に
 生物が「眼」を獲得したから」
だと答えています。
「眼」?
これもトートツで面白かった。
が、この本を読んでいると
「光」が生物にもたらす影響がとても大きいことが実感できて
(捕食者から見つからないようにするなど)
あながち冗談でもないな、と思えるのです。
そもそも、自分は
「なんで、うごうご動く生き物なんていうものが
 無機物から生まれたのか?」
(何で動いちゃうんでしょう??)
「なんで生き物は、殖えるのか」
(何で子作りが、生き物の最大のテーマなんでしょう?」
「「見える」ってそもそもどういうことなのか?」
(感覚って、良く考えると奇妙じゃないですか??)
「目って、どんな方法でできたのか?」
(透明なんだよ?!)
なんていうような生物学的疑問を考えるのが好きで
(具体的な勉強は苦手だけど)
本屋の生物本コーナーは良く徘徊しているのです。
この本では、ラッキーなことに「どうやって生物が生まれたのか」
ということについても、解説してくれてました。
まだ、学者の中でも「有力な仮説」段階らしいんのですが 
(こんなに基本的な疑問なのに!)
「たまたま」というのが、その答えのようです。
海底火山の吹き上げる熱湯の中で、いろんな物質が混ざり合って
20億年くらい待ってたら
「たまたま、物質が結合して生き物になっちゃった」
らしいです。
イメージとしては、ガラクタの山に強風が吹きつけてたら
飛行機が組み立っちゃった、くらいの偶然ではあるそうですが
ま、20億年も吹いてたら、いつかはできるよ
ということであるらしいです。
しょーもな。
でも、生物誕生の理由が
ご大層なものでないのも、なんとなく
かえって良いのかもしれませんねえ。
また、目は
もともとは「光を感じる感覚をもった細胞」が原点で
(原始的な生き物も持っている)
それが4~5回遺伝子変異を起こすだけで
目になってしまうので、意外とできるのは簡単だそうな。
へ~。
そんなことを読みながらふと考えていたら
前述の「生物は何故殖えるのか」という疑問も
「そもそも殖えた生物種しか、今生き残ってないから」
じゃないだろうか、という
これまたしょーもないことを思い浮かべたのでした。
やっぱり生物学って面白いねえ。

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