アーカイブ ‘ 2006年 4月

ママが育てたイノシシ

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週末に有隣堂のサイエンスコーナーを徘徊していたら、衝撃的な表紙の本と遭遇
猫になった山猫 平岩 由伎子 (著)
本自体は、野生の猫が家畜化された過程や
山猫の生態、野生猫の保護活動の紹介をしているのですが
ふと手に取って見た、この表紙の写真によくわからないまま衝撃を受けました。
熱帯地域の女性が、片手に赤ちゃんを抱きながら
もう一方の手でイノシシの子供におっぱいをあげている写真です。
筆者いわく、親にはぐれた野生動物の子を拾って来て自分の母乳で育てる、
これが猫に限らず野生動物が家畜化される、第一歩だろう、と。
なんだかすごく腑に落ちたのでした。
今まで犬が家畜化されたときのイメージとして、
たまたま人間の集落近くにいたオオカミの群れに、えさをやったりして
だんだん手懐けましたよ、という想像図を読んだり見たりしていて
そんなものかな、と思っていたのですが
そうではなくて、子供のうちから育てる(母乳ではなくとも)と仮定すると
その方がはるかにイメージが湧くな、と思ったのです。
普通の猫だって、野良猫は最後まで人に慣れない部分が残りますが
その子供が小さいときから人間に育てられていれば
一度も外にでることなしでも、暮らせちゃいますからね。
なんでそんなことが気になったかというと
最近「時代の変化に対応する」ということについて、気になっていたのです。
仕事の関係で、最近携帯電話を使ってウェブを見ることを始めたのですが
もう~、遅くていらいらしてしちゃうんですよね。
ゲームも、専用端末でやるのと比べると、全然面白くないし。
でも、なんで携帯版ウェブが広がっているかと言うと
それは今の大学/高校生世代が使っているから。
私の世代が携帯を持ち始めたときは、まだメール機能までしかなかったから
ウェブは大学に入ってパソコンを始めるまで使えなかったのです。
よって、ウェブ=パソコンで見るもの、という認識がある。
でも今の大学/高校生世代が携帯電話を持ち始めたときは
携帯にウェブの機能は標準装備。
まだパソコンは持っていないから、ウェブはもっぱら携帯で。
そうすると、社会人になってパソコンを使うようになっても
使い慣れた携帯は利用する。
また、携帯ならいつでも持ち歩けるから
パソコンで見た必要なページだけ、URLを携帯に転送して
出先で携帯から見たりする。
そんなことがおきつつあるんですよ、というのを
以前元リクルートのくらたまなぶさんのセミナーで聞いて
気になっていたのでした。
以前読んだウェブ進化論でも
コンピューターと言えば、大学に数台あるだけで
それを並んで、お金を払っていた時代に
マイクロソフトは個人で無料で使い放題のパソコンを作った。
でも、その後googleの創始者が育った時代は
パソコンは当たり前で前提の時代。
彼は、所有する情報をパソコンの中におかず、すべてネット上において
それをいつでも整理して取り出す方式を考えた。それがgoogle。
マイクロソフトは、未だにパソコンの中にデータを置くという
考えに基づいているので、本質的にはgoogleのまねはできない。
という内容の記載がありました。
よくもわるくも、本質的な進化というのは
新しい世代によってしか起こすことができない、
言い換えれば、新しい世代が古い世代を打ち倒すことでしかできないんですね。
googleも、いつかネット上にあらゆるデータを置いておくことが前提になったとき
さらにそれを前提とした新しい考えの会社に、とって変わられるんでしょう。
それくらい、始めに経験した環境というのは
その後の考え方を規定するもの、
本質的には変えられないものなんですね。
物事を変えたかったら、新しい世代を育てろ
かつての価値観を知りたかったら、古い世代に聞け
初めて体験することはとっても、重要だよ、と。
古い世代との戦いをしていたら、いつの間にか自分も古い世代になっていた
という驚きと
始めに経験する環境のインパクトの大きさに、ちょっと目をぱちぱちさせている
今日このごろです。

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